頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)とは
頚肩腕(けいけんわん)とは、首と肩と腕のことを言います。「頚肩腕症候群」とは、その名前の通り、首、肩、腕に痛みやしびれが出る症状のことです。かつてキーパンチャー病と呼ばれていたものもこの一種であり、OA病あるいはパソコン症候群と呼ばれている症状も頚肩腕症候群です。若年層から起こり、男性よりも女性のほうが発症しやすいとされています。
変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群などを除いた整形外科や専門医などの検査で原因が認められないものを、狭義の頚肩腕症候群と呼びます。
長時間パソコン作業などを続ける30~50代の働き盛りの事務職の人に多いと言われています。キーボードをたたき続ける反復動作や、数時間ほとんど動かない姿勢を続けている静的な筋肉疲労により発症のリスクが高まります。またパソコンやスマートフォンの画面をのぞき込むような前傾姿勢や猫背の格好で作業すると頚肩腕に負担がかかります。
頚肩腕症候群の症状
首、肩、背中、肩甲骨、腕、手指にかけてのコリや痛み、しびれなどです。疲労感や脱力感を覚える場合もあります。
症状は広範囲へ広がりやすい特徴があり、痛みやしびれは軽いものから耐えられないレベルまであります。
痛みやしびれが出る部分や進み方は、その仕事やその人により違いますが、はじめは首こり、肩こりや腕のだるさから始まります。コリやだるさ、疲れやすいといった症状がだんだん痛みや、うずくような痛みやしびれになって苦痛が強くなっていきます。
動かす時だけ痛い場合やじっとしていても痛む場 合、車や自転車を運転する姿勢などある特定のポーズで痛みしびれが出る場合などがあります。また首の可動域が制限される場合もあります。
頚肩腕症候群がひどい場合や長びいた場合、頭痛、めまい、耳鳴りがしたりすることもあり自律神経症状を伴う場合もみられます。
頚肩腕症候群の原因
原因の一つとして筋肉の慢性疲労があります。
パソコン作業時の顔が前方に突き出した不良姿勢(猫背や前かがみ)、デスクワーク中の長時間の同じ姿勢、同じ作業の反復動作などで首、肩、背中、肩甲骨などの筋肉に持続的な緊張状態が生じ、血液の循環不良により乳酸などの疲労物質や発痛物質が蓄積されます。
最近はスマートフォンを長時間続けたり、寝転んだ悪い姿勢でのスマートフォンが原因となっています。
またパソコンの画面一点を見続けることによる眼精疲労や、運動不足、精神的なストレスの蓄積でも発症や悪化するといわれています。
これらの慢性的な疲労が、過労性疾患である頚肩腕症候群の原因となります。
コリや痛みやしびれが悪化すると、体を動かせない状態となりさらに血行の悪い状態が続き、痛みやしびれが強くなるといった悪循環になります。
歯医者さんや介護士さん、美容師さん理容師さんなど前傾姿勢で腕を酷使する職業の方も頚肩腕症候群を発症しやすいので注意が必要です。
また性格的に几帳面で真面目な人、責任感の強い人も精神的ストレスから筋肉の過緊張を起こりしやすく、発症リスクが高いといえます。
頚肩腕症候群の対処法
対処法は筋肉の血行を良くすることです。同じ姿勢を長く続けないことや、蒸しタオルなどを使って首や肩を温めたり、入浴で身体を温めたり、適度な運動やストレッチが効果的です。
【肩甲骨のストレッチ】
動画解説(30秒)