ぎっくり腰(急性腰痛症)とは ?その激しい痛みの原因や症状、対処法と予防について 

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ぎっくり腰(急性腰痛症)とは

物を持ち上げようとしたときや、靴下を履くとき、下に落ちた物を拾おうとしたときや、椅子から立ち上がろうとしたときなど、ふとした動作などで突然腰に激痛が生じます。何気ない動作がきっかけで起こることが多いです
正式には「急性腰痛症」または「腰椎捻挫」ですが、一般的には「ぎっくり腰」と呼ばれています。「急性」の文字どおりいきなり腰が痛くなる症状のことです。激しい痛みのため欧米では「魔女の一撃」とも呼ばれます。

急性腰痛症は、腰痛になって4週間以内のものを指します。ほとんどは1週間~2週間で自然に回復していきます。発症直後は強い痛みに襲われ痛みで動けない場合もあります。2~3日後は痛みが少し和らぎます。1週間後には痛みはかなり軽くなります。

ぎっくり腰(急性腰痛症)の原因

ぎっくり腰の原因は、腰の関節のずれ(背骨の椎間関節や骨盤の仙腸関節のずれ)、腰にある椎間板という軟骨の損傷、腰の筋肉や腱や靱帯の損傷などが多いと考えられていますが、原因がはっきりとしない場合もあります。レントゲン、CTやMRIといった検査ではその異常を捉えることはできないと言われています。
老化や無理な力がかかるなどが要因となる場合があります。
中腰の姿勢になることが多い方や、重いものを持つことが多い方は腰への負担が大きいためぎっくり腰を起こしやすいと言われています。

多くの腰痛は日常生活の負担が溜まっていき許容量を超えたときに発症します。ぎっくり腰にも同じことが言えます。腰にいきなり痛みがでますが、それより前に腰に日に日に負担が蓄積した結果として急激な痛みが出ると当院では考えています。運動不足で血流が悪かったり、長時間座りっぱなしのパソコン作業をしたり、悪い姿勢でのデスクワーク、睡眠不足が続いて疲労が蓄積していたりなどが根本的な要因になり腰椎や骨盤の柔軟性が失われてしまい発症すると思われます。

またぎっくり腰や腰痛の発生には心理的ストレスが関係しているとも言われています。職場の人間関係や家庭の問題などからくるストレスにより腰まわりの血流が悪くなり痛みを起こすと考えられています。ストレスは腰の痛みを悪化させる原因となりますが、痛み自体がまたストレスとなり腰の痛みの原因になってしまい悪循環に陥ってしまうケースもあります。

ぎっくり腰(急性腰痛症)の症状

急性の強い痛みが特徴です。そのため腰を動かしたり、洗顔で前かがみになったり、椅子から立ち上がるなどの日常的な動作が難しくなります。

ぎっくり腰を起こしたときの痛みの感じ方は、かなり個人差があり幅があります。軽度の方は、歩けるが椅子の立ち座りが辛いとか腰が曲がったまま伸ばしにくいなどの症状があります。重度のぎっくり腰の場合は、身動きが全くとれなくなります。座っていても痛く、脂汗をかくほどの激痛を伴うこともあります。

何回もぎっくり腰を繰り返す、または長期間にわたり治らない場合や、下半身に痛みやしびれが出たり、力が入らないなどの症状があるときには椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの可能性もあるので注意が必要です。

ぎっくり腰(急性腰痛症)の対処法

ぎっくり腰になったときは、安静第一にしましょう。無理に動くと症状が悪化してしまう場合が多くあるので安静が大事になります。
痛みがでてすぐは患部が熱を持って炎症していることが多いので、冷却して炎症を抑えることで痛みの緩和になります。保冷剤などをタオルでくるんで10分間ほどのアイシングがおすすめです。10分間冷やして5分間休むを何回か繰り返すと効果的です。
またコルセットなどで腰を固定すると安定感があり腰の保護になるのでおすすめします。

冷やした方がいいのか?温めたほうがいいいのか?迷われた場合は、発症した直後は温めると痛みが悪化する場合があるので冷やしたほうが良いです。
お風呂の湯船には入らずにシャワーにした方がいいでしょう。またお酒も控えるようにして、揉んだり押したりストレッチしたりするのも悪化する可能性があるので控えた方が良いです。湿布を貼るときは冷湿布を使用して温湿布は貼らないようにしましょう。

ぎっくり腰の直後は冷やし、2〜3日して痛みが引いてきたら温めるのがおすすめです。お風呂で湯船につかることで血行が促進され、自律神経も整い回復が早まります。もし入浴によって痛みが強くなる場合、患部に熱がある場合は入浴は避けたほうがよいです。

寝方にも注意が必要になります。仰向けで脚を伸ばして寝るのは腰に負担がかかり悪化のおそれがあります。仰向けで寝る場合は、両膝の下に丸めた毛布やタオルケットなどを入れて膝が90度に曲がるようにする寝方がおすすめです。


横向きで寝る場合は、痛い方を上にして寝ます。また両足を胸の方に曲げて両膝の間にタオルケットを丸めてて挟むとより楽に寝ることができます。うつ伏せの寝方は腰に負担がかかるので避けたほうがいいでしょう。

痛いのを無理に動かすのは良くないのですが、長期間にわたり腰をかばい続けて安静にしていると腰の筋肉が固まってしまい症状が長引いてしまいます。再び腰が悪化するのではないか?もう治らないのではないか?と悲観的に考えてしまい不安感や恐怖感が増して必要以上に腰をかばいコルセットを常用するなど腰を過剰に守るようになり行動を制限してしまうことが、ぎっくり腰の回復に悪影響をおよぼす場合があります。

数日して痛みが軽減してきたら、少しずつ動くようにしましょう。以前は痛みがある期間は寝ていたほうがいいと言われていましたが、最近は早めに動き始めたほうが回復が早まると言われるています。また動いたほうが慢性の腰痛になることも防げると言われています。

ぎっくり腰(急性腰痛症)の予防

ぎっくり腰の予防には普段の生活習慣が大事になります。
良い姿勢を意識して坐る、適度な運動をする、睡眠不足にならない、体を温めるの4つが大切なことです。
デスクワークのときに猫背や前かがみの悪い姿勢、またパソコン作業などで長時間座ると腰への負担になります。デスクワークの方は、1時間に1度は席を立ってトイレに行ったり、腰を回したり体を動かし腰が固まるのを防ぎましょう。
ストレッチや腰の体操などの適度な運動が必要です。普段から体を動かすことで血流を良くして筋肉を柔軟にしましょう。
睡眠不足になると血液循環が悪くなり疲労がたまっていくことで筋肉が硬くなります。6~7時間の睡眠をとるように心がけましょう。
体が冷えてしまと筋肉が固くなってしまい、ぎっくり腰の原因となります。
仕事中などはカイロなどを腰に当てると予防効果があります。また自宅では夜にお風呂につかり体を温めることを習慣にすることをおすすめします。

まとめ

ぎっくり腰は急な激痛に襲われることが特徴で、誰にでも起こる可能性がある症状です。もしなったときのために事前に今回紹介したアイシングや寝方などの基本的なことを知っておきましょう。

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